概要
 思考メカニズムと知的コンピュータの研究
 知的情報処理システムの研究
 知的コミュニケーションの研究
 知能ロボットの研究

 最近の論文発表
 


 概要

 21世紀の情報化社会は、インターネット、マルチメディアが社会活動の重要な基盤になります。情報化が急速に進展する中で、作業の支援を目的とするロボットに関しては使い勝手がよくなりましたが、精神的な支援も含め人間との共存を目的とする知能ロボットに関しては、まだ満足のいくものとは言えないのが現状です。将来、人間とロボットが共存するためには、従来のような、より高速で精密な計算能力を追求するコンピュータ研究の方向に加え、ロボットに人間の知識や文化を理解させ、少しでも人間に近づける知的化(人間化)の研究が重要になります。

 本研究室では、情報処理・通信技術、言語処理、知識処理に加え、遺伝アルゴリズム、曖昧への対応をするファジイ、学習への対応をするニューラルネットワークの人工知能関連技術を融合し、コンピュータの知的化の研究を行っています。具体的には、時間判断や感覚判断などを人間のように行える常識判断メカニズムや、曖昧な表現に対しても連想により、対応可能とする連想メカニズム、更には思考メカニズムのモデル化という知的化の基礎的テーマから、それらを用いて、看板や標識内の文字や表のもつ意味を総合的に理解しながら知的に処理する知的情報処理システムの研究、利用者とコンピュータが会話を通じて相手の意図を理解していく知的コミュニケーションの研究まで幅広く対象にしています。

 上記のことを研究するために、本研究室では、ロボ班、画像班、音声班、解釈班、会話班、心情班、学習班、判断班、記事班、連想班、概念班、Web班と12班に別れ、多岐にわたる研究を行っています。



 


 思考メカニズムと知的コンピュータの研究 
   〜常識判断メカニズム、連想メカニズム〜


 人間とフレンドリーなコンピュータ、すなわち、人間の意図や感情、個性などを適切に汲み取り、行動できる知的能力を持ったコンピュータの実現を目指し、そのための思考メカニズムを研究する。   
人間が物事を考える時は、経験により身に付いた常識に基づいて考え判断し、未経験の物事に対しては、辞書やWebで調べたり、今までの経験から連想したりする。そこで、ロボットにも人間と同じような、常識判断メカニズムと連想メカニズムを用いて、思考メカニズムを作り出す。
例えば、「クリスマスの日、私は公園でお金を拾った」という入力情報から、「クリスマス」という言葉から「12月25日」と判断したり、感情は「喜び」と判断したり、職種判断として、「警察署に行く」というように、常識的に判断ができるロボットを研究する。

  



 


 知的情報処理システムの研究 
   〜表現理解メカニズム〜


 ワードプロセッサや、各種検索処理プログラムに見られるように、従来の各種情報処理システムは、今や日々機能の高度化や利用者インターフェースの改善が図られ、目覚しい発展を遂げている。
 しかし、これらはいずれも利用者の指示通り(決められた手順に従い)機能するツールとしての域を出るものではない。本テーマでは、利用者の指示の意図を汲んで、知能エージェントが主体的に目的遂行を補佐してくれるようにするための知的情報処理を研究する。
 具体的な例としては、自律的に行動するお使いロボビーの実現である。人間が動作を指示することによって、ロボットがお使いを実現するのではなく、人間がロボットにお使い内容を伝えると、地図や看板の情報を理解して、更に障害物などの物体を認識したりして、自律的にお使いをするために、様々な人間の表現方法を理解するロボットを研究する。

  


 


知的コミュニケーションの研究 
  〜会話処理メカニズム〜


 本研究では、人間と知能コンピュータ、あるいは知的コンピュータ同士の意思疎通が主要な課題である。現在、コンピュータの進化に伴い、人間と共存できるコンピュータ及びロボットの開発が注目を浴びている。しかし元来では、コンピュータと人間がコミュニケーションをする際、コンピュータは人間の会話を理解したり、常識的な返答をしたりすることはできなかった。そのため、人間がコンピュータのインターフェースに合わせる必要があった。そこで本研究室では、ロボット自身に、相手の意図(命令や挨拶など)を常識的に判断させ、自然な会話をさせることで、人間との円滑なコミュニケーションを目指している。本研究では、実際に人間同士が行う会話処理をモデル化し、コンピュータのインターフェースに取り入れることにより、コンピュータ及びロボットが人間のように自然な会話を行うことを目的としている。

  


 



知能ロボット制御の研究

 ロボットが人間のパートナーとして活躍できるために、ロボットが自律的に人間の動作を補助したり、コミュニケーションに必要な感情表現や表情をしたりすることが必要になってくる。そこで、上記の会話処理メカニズムや思考メカニズムから得た状況に適した行動を自律的に起こし、また、環境の変化などに柔軟に対応できる仕組みを研究する。例えば、最適な経路を判断し、自律移動したり、人間が指示した動作をしたり、または新しい動作を学習することによって、様々な人間とのコミュニケーションに役立ち、人間にとって優しいロボットであることが目的である。